◎ネパール地震と世界遺産(『日本経済新聞』5月11日記事)

《記事要約》 【カトマンズ共同】ネパールでは、大地震による被害で国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産が倒壊するなどし、修復不可能であるという見方が政府とユネスコによってなされている。ネパールでは5世紀ごろからヒンズー教と仏教が混じり合う独自の文化の形成がすすみ、こうした文化を背景にした歴史的建造物が数多く残る。10日時点で世界遺産を含む480の歴史的建造物が全半壊したことが確認されている。コイララ首相は損壊史跡の再建を五年以内に終えると表明したが、専門家の人材に限りがある・財政面などで課題が残り再建は難航すると予想される。



《私の考え・感想》このブログでも私自身、世界遺産に関心があり愛着をもっているためいくらかの各地ニュースにも触れております。明るいニュースばかりであったのですが、今回は深刻な状況だと言うのが事実であり、世界遺産への被害はネパール国民にとっても地震被害を象徴するものとして受け止められていくと考えます。旧来、インドとチベットの中間地点にあるという地理的な側面によりヒンズー・仏教の融合が進み、独自の文化や歴史が作られたチベットの遺産は国民にも馴染みある誇りとして認識されていたようです。
 ここで日本の歴史をひも解きたいと思います。平安時代末期に東大寺が焼き討ちされた際、重源という僧によって再建が果たされました。資金の調達、建築技術の習得、関係者の調整で奔走した重源はいくつもの課題を抱えながらも自ら建築を学ぶなどして力を尽くしたと伝えられています。そうした重源の姿があったからか戦国時代に焼き討ちされた際も当時の人々により再び修復されました。何度も形が崩れながらも先人の姿勢が受け継がれ遺産が保護されてきた歴史は各地に残るはず。五年以内といわずゆっくり着実でも良いのではないでしょうか。これは私にも、人間の営みにもいえるのですが、大切なのは様々な課題に立ち向かう姿勢です。ネパールの姿勢がどういったものになるか応援したいですね。


【きみはいつおとなになったんだろう。「きみがきみの人生で『こころが痛い』としかいえない痛みを、はじめて自分に知ったとき」/詩人・長田弘氏】